やけどとは?
やけどは、『面積』と『深さ』が問題
熱エネルギーによる皮膚の細胞ダメージをやけどといいます。やけどは、からだ全体の何割がやけどしたか。皮膚の表面だけが影響を受けているのか、それとも皮膚の深いところまで影響を受けているのか。
つまり、『面積』と『深さ』によって軽症と重症に分けられます。ただ、面積や深さがさほどなくても、気道と呼ばれる空気の通り道がやけどをすると命にかかわることもありますし、手や陰部など特殊な部位のやけどは場合によっては治りにくいケースもあります。
皮膚の断面とやけどの深さ
- 1.皮膚が赤くなる。ヒリヒリする。
- 2.痛みが伴い、水ぶくれができる。
- 3.痛みが伴い、傷あとが残りやすい。
- 4.痛みは少ない。皮膚が白くなり、手術が必要になることもある。
(注)2〜4のやけどは病院で治療を受けましょう
子どものやけど
やけどに対する抵抗力が弱い
小さいお子さまは皮膚が薄いため、
より深くダメージを受けます。
また、ショックや脱水症状を起こすこともあります。
無理に服を脱がさないで
お子さまが熱いお湯などをこぼしたときに、乱暴に脱がすと、やけどによってできた水ぶくれを破ってしまう恐れがあります。
無理に服を脱がさず、衣服の上から冷やしてください。
まわりに危険なものを置かない
小さなお子さまは、炊飯器の蒸気の口に手を置いたりなど、予想のつかない行動に出るので、お子さまの目や手の届くところに危険なものを置かないようにしてください。
低温やけど、軽く考えないで
低温やけどは軽く見られがち
湯たんぽや使い捨てカイロに長時間接触していたり、暖房便座にずっと座り続けていると、低温やけどになることがあります。
このやけどは皮膚の深いところまでダメージを受けているにもかかわらず、通常のやけどと違い、見た目(皮膚の表面)はとても軽症に見え、時には気がつかないこともあります。
低温やけどを放っておくと
水ぶくれが生じたり、皮膚がただれて細胞がこわれるなど、徐々に症状が見えてきます。気がついた時にはすでにやけどがかなり進行している場合が多く、治療が長引いたり、手術を要することもあります。
やけどの応急処置
水道水で冷やし、冷やしたあとはすぐ病院に行く
やけどしたら、まずクーリングしてその熱のダメージをやわらげること。一番手軽で効果的なのが、水道水で冷やす方法です。
やけどの程度にもよりますが、5分から30分ほど冷やし、そのあとすぐに近くの医療機関で治療してもらうのがよいでしょう。もし、そばに水道水がなければ、冷水に浸したガーゼや薄いタオルを患部に当て、早くお医者さんに診てもらいましょう。
ここに注意!
- とにかく冷やさなければということで、全身を冷たい水で冷やすと低温症になる場合があります。
- 氷や氷のうを直接患部にあてると、皮膚が冷えすぎてしまい、凍傷をおこす事もあります。
- 市販のクーリングスプレーや冷却スプレーなどは、やけどを治すものではありません。目的が違うのでおすすめできません。
病院の治療
トヨタ記念病院では
湿気のある環境で治す『湿潤療法(しつじゅんりょうほう)』
従来、やけどの治療は、消毒して軟膏を塗ってガーゼで覆っていました。
しかし、この治療法だと水ぶくれが破れたり、ガーゼ交換の時に非常に痛みを伴ったり、皮膚をこわすことがあります。
トヨタ記念病院 形成外科では皮膚に傷害を受けた傷に対して、『湿潤療法』を取り入れています。これは適切な湿り気のある環境の中で治療を行うもので、痛みも少なく、皮膚の再生スピードを速めます。ある程度深いやけどの治療にも、この湿潤療法を応用し、とてもよい治療結果を得ています。やけどの初期治療だけでなく、やけどの後遺症(目立つ傷あとやひきつれ)でお悩みの方も当科に一度相談してください。
お湯を沸かす、天ぷらを揚げる、バーベキューをする。
仕事中でも、火を使ったり、電気を使ったり金属を溶かすなど、やけどを起こす条件や環境は年中、いつでも、どこでも身近にあります。
やけどは特殊な疾病ではありません。
そのため、日ごろよりやけどを未然に防ぐ工夫や対策が必要です。