女性の病気
ためらっていると、病気が広がっていきます。
女性ならだれでも同じ経験や悩みを持っています。
我慢しないで恥ずかしがらないで
適切な診療科を選んで検査を受けることが大切です。
婦人病とひと口に言っても、生理痛をはじめいろいろなものがあります。
こんなにひどい痛みって私だけ?
こんな症状があるけど何かの病気のサイン?など、あれこれ考えてしまうこともあるのではないでしょうか。

そもそも生理痛ってナニ?
生理痛、つまり月経痛は月経開始または開始2日目頃から始まる下腹部痛(腰部から下腿前部)のことで、場合によっては全身症状(吐き気、嘔吐、脱力感、イライラ、めまい、下痢、肩こり、頭痛など)を伴うこともあります。
「機能性」って、どういうこと?
月経痛の種類で、健康であっても起きる月経痛のことです。ほかに「器質性」の月経痛もあります。
「機能性」
初経後6〜12ヶ月程度経過し、排卵周期が確立する頃に発症します。健康であっても起きる生理的なものです。痛み以外にさまざまな全身症状を併発することが多いというのが特徴で、我慢をせずに鎮痛剤等を使用することで快適に過ごすことができます。
【原因】
子宮の強い収縮、子宮内膜の剥離不全、子宮内の血行障害、
心因性(月経に対する不安や嫌悪感)など。
「器質性」
強い痛みがあり、毎月その痛みがひどくなっていく傾向があります。全身症状は伴うことがなく、病気が関係している場合がありますので、ぜひ病院で検査を受けてください。
【原因】
子宮内膜症、子宮腺筋症、子宮筋腫、卵巣嚢腫
生理の量が多かったり、少なかったりするのは異常なの?
客観的な評価はむずかしいと言えますが、医学的には以下のようになります。
量が多い(過多月経)
150ミリリットル以上のもの。月経の持続期間も長く(7日以上)、月経血に塊が混じることがあります。貧血の症状があります。
【疑われる原因】
- 婦人科疾患
子宮筋腫、子宮腺筋症、子宮内膜症、子宮内膜ポリープ、子宮内膜増殖症、子宮内膜がん、
子宮頸がん - 機能的疾患
黄体機能不全、無排卵周期症、高プロラクチン血症 など
量が少ない(過少月経)
20〜30ミリリットル以下のもの。月経の持続期間は短い(3日以内)。
【疑われる原因】
排卵がない月経、卵巣機能不全、子宮発育不全、子宮内腔の癒着
生理痛だけでなくほかにもこんな症状があります。
ある日、突然の「不正出血」にびっくり!?
生理時以外に性器から出血するもので、多くの女性が悩んでいます。
・閉経後の性器出血
まず悪性腫瘍がないことを診断します。
そのうえで萎縮性疾患、良性腫瘍の有無がないかを検査してもらうことが重要です。
・成熟期の性器出血
多くは機能性子宮出血と言われていますが、他の器質的疾患(外傷、感染症、内分泌異常、良性・悪性腫瘍、流産等の異常妊娠など)の有無がないかを検査してもらうことが重要です。
我慢できない「かゆみ、帯下感」
女性性器、特に外陰部は尿道や腟、肛門に隣接し、常に湿潤しているため、細菌などが繁殖しやすいところなので、炎症などをおこしやすいと言えます。だからといって、入浴時に腟などを洗えば洗うほど、腟・外陰炎を発症し、かゆみや異常な帯下感が起きてきます。
中高年の女性に多い病気
年齢を重ねるにつれ、病気の種類も
増えてきます。
「年だから」とあきらめないで早期に治療を受けましょう。
- 萎縮性腟炎
(いしゅくせいちつえん) - 高脂血症
(こうしけつしょう) - 月経異常
- 性器出血
- 性器脱
(せいきだつ) - 骨そしょう症
- 月経痛
- 下腹部腫瘤感
(かふくぶしゅりゅうかん)
- 更年期障害
(ほてり、のぼせ、不眠、不安、うつ) - 帯下
(たいげ) - 下腹部痛
- 貧血症状 など
病院の治療
ホルモンバランスが大事
婦人病と女性ホルモンはきってもきれない関係です。すなわち、女性ホルモンが減少したり、多過ぎたり、バランスを崩すと病気になってしまいます。
病院ではホルモンのバランスを整え、もとどおり正常に働くようにします。個人差はありますので、その人にあった治療を行っています。
トヨタ記念病院では
多彩な治療の中から、患者さまが選択
当院の特色は治療が多彩であることです。
いろいろな選択肢があり、患者さまの希望にもとづいて選ぶことができます。良性腫瘍(注)の手術では、現在は開腹手術だけでなく、患者さまの負担にならない腹腔鏡・子宮鏡・卵管鏡・腟式手術も可能となっています。
苦痛も少なく、入院期間も短期間ですみますし、何よりも女性の方が気にされる手術による傷あともほとんどわかりませんので、安心して受けていただけると思います。
(注)良性腫瘍とは、子宮筋腫・卵巣腫瘍・子宮内膜症・子宮腺筋症のことを指します。
食生活の欧米化などにより若年層に子宮がんが広がっています。自覚症状がないため、不正出血などが起きた場合は受診されたほうがよいでしょう。しかし、何よりも大切なのは早期発見です。初期なら治癒率も高く、後遺症もありません。ぜひ定期健診を受けてください。