一般撮影(レントゲン撮影)
一般撮影は、X線を利用して撮影する検査のことで、レントゲン撮影や単純撮影ともいわれます。胸部や腹部、骨や関節、口腔内など、様々な部位の撮影が行われ、多くの診療科に関わる部門です。一般撮影は、簡便かつ迅速な画像提供が可能であるため、多くの診療場面で活用されています。
放射線科一般撮影室には3つの部屋があり、それぞれに立位撮影と臥位撮影用の装置が備えられています。
そのうちの一部屋には、全脊椎や下肢の全長を撮影するための装置もあります。
さらに、歯科専用室もあり、オルソパントモ撮影やデンタル撮影を行っています。
また、ベッドから起き上がれない患者さまなどに対しては、移動可能なポータブル装置を使用して病室内で撮影することもあります。
一般撮影立位
長尺
オルソパントモ
デンタル装置
当院では、FPD(Flat Panel Detector)システムを導入しており、低線量での撮影を可能にしています。このシステムにより、高精細な画像の確認・処理を迅速に行うことができます。使用機器の品質管理においても定期的に実施しており、患者さまに安全かつ適切な画像を提供できるよう努めています。
患者さまの身体への負担軽減のために、状況に応じ柔軟に対応いたします。撮影時に体勢が辛い場合は、どうぞお申し出ください。また撮影部位によって、装飾品(ネックレスやピアス等)や湿布、エレキバン、カイロなどを外していただく場合や、検査着に着替えていただくことがありますのでご了承ください。
乳腺撮影(マンモグラフィ・乳腺超音波)
当院では、乳がんをはじめとする乳腺の様々な疾患に対し、マンモグラフィ(乳房専用X線撮影)や乳腺超音波検査、さらにはCTやMRI、アイソトープ検査、放射線治療などを行っています。特にマンモグラフィ、乳腺超音波検査、乳管造影については、乳腺専用の待合室があり、女性の診療放射線技師が撮影を担当しております。
マンモグラフィ装置
乳腺超音波装置
乳腺待合室
マンモグラフィは乳房を板で圧迫し、薄く伸ばした状態で撮影するため、個人差はありますが痛みを伴います。乳房の厚さを薄くすることで鮮明な画像が得られ、さらに被ばくを少なくできるメリットもありますので、可能な限りご協力をお願いします。ペースメーカーやシャントを挿入されている方、豊胸術を受けられたことがある方、妊娠の可能性がある方は、事前に担当技師にお申し出ください。医師と相談した上で、マンモグラフィ以外の検査方法を検討することもあります。
乳腺超音波検査はX線を使用しない検査です。妊娠中の方も安心して検査を行うことができます。
患者さまの安全と安心を確保するために、日々装置の動作チェックや画像の確認を欠かさず行っています。さらに、日常点検、半年ごとの点検、そして1年ごとの点検も実施し、装置の管理を徹底しています。これにより、適切な精度で検査を実施できるよう努めています。
当院では日本乳がん検診精度管理中央機構のマンモグラフィ検診施設画像認定や、検診マンモグラフィ撮影認定診療放射線技師、乳腺超音波技術認定技師を取得しています。乳腺外科の医師と健診科および放射線科の診療放射線技師が毎週合同カンファレンスにて症例検討を行い、技術や知識の向上に努めています。
骨密度検査(DEXA法)
骨密度装置
骨密度検査とは骨に含まれるカルシウム等のミネラル成分の量を測定する検査で、骨粗しょう症や代謝性骨疾患の診断に役立ちます。また、骨の健康状態を数値化することにより、骨量の減少を早期に発見し、適切な予防や治療を行うことが可能になります。
当院では、DEXA(デキサ)法のX線骨密度測定器を導入して骨密度検査を行っています。DEXAはDual Energy X-ray Absorptiometryの略であり、エネルギーの違う2種類のX線を照射し、骨と軟部組織の吸収率の差を利用して骨密度の計測をする方法です。DEXA法は、信頼性の高い骨密度検査方法の一つです。骨折しやすい部位である腰椎と大腿骨頚部(足の付け根部分)の両方を測定することが推奨されています。二つの部位を検査しますが、体位の変更が必要なく、短時間で検査を完了することができます。検査中は数分間、撮影台に横になっているだけで、痛みや不快感はほとんどありません。また、被ばく線量も少なく、身体の負担に配慮した検査方法です。もし仰向けになることが難しかったり、撮影台への移動に不安がある場合は、遠慮なくお申し出ください。
TV検査(X線透視検査)
TV検査はX線透視の技術を用いて、人体内部を静止画像として捉えるのではなく、動画像としてリアルタイムにTV画面上で観察し、撮影しながら検査・治療・処置をおこなうことができる検査です。
当院ではTV装置が3台稼働しており、主に消化器内科や呼吸器内科の内視鏡カメラや超音波を併用した検査・治療を行う際の手技の確認(ERCP(内視鏡的逆行性胆管膵管造影)、EST(内視鏡的乳頭切開術)、PTCD(経皮経肝胆管ドレナージ)、PTGBD(経皮経肝胆嚢ドレナージ)、TBLB(経気管支肺生検)など)を行っています。その他にも整形外科治療(整復・神経根ブロックなど)や外科的な処置や治療、嚥下造影検査(飲み込み機能を判断する)、産婦人科(HSG(子宮卵管造影))の検査など、TV装置の透視下で適切に行うことができます。
第11室 TV装置
第12室 TV装置
第23室 TV装置
医療機器と画像処理技術の進歩により、被ばく線量を抑えつつ、高精細な画像を提供できるようになってきています。これにより、X線による被ばく線量の低減に貢献しています。検査時間は検査内容によって大きく異なり、30分以内で終わるものから1時間以上必要な検査もあります。当院では、患者さまの身体的負担を考慮し、検査・治療によって受ける被ばく線量の低減に努めています。
CT検査
CT装置
CT(Computed Tomography)検査
CT検査は、X線を使用して身体の内部の様子を画像化する検査です。当院では2023年5月から320列CT装置が3台(CT室2台、ER放射線1台)が稼働しています。CT部門では主に外来患者さまの検査(単純・造影検査)を行っています。当日緊急の検査はER部門とも協力して行っています。ER放射線のCTも同等の品質基準で管理されており、適切な検査を受けていただけるよう努めています。
320列CT装置は、1回転で最大160mmの範囲を撮影することが可能で、脳や心臓などを短時間で撮影することができます。PIQE(超解像画像再構成法)やDual Energyなどを使用することで、診断に有用な画像提供に努めています。またCTとMRIのFusion画像や3D、VR(Virtual Reality)画像などを手術支援画像としています。
肺塞栓Spectral
肝臓術前
膵臓術前
冠動脈CT
Brain 4D
Virtual Reality
ルート確保場
造影CT検査とは、おもに肘の静脈から造影剤を注入して撮影を行う検査のことです。この造影剤を使用するとまれに副作用が出ることがあります。多い副作用は吐き気、息苦しさ、くしゃみ、皮膚のかゆみなどです。CT部門では造影剤アレルギーの勉強会やアレルギー発生時対応シミュレーションを定期的に行っており、アレルギー発生時にはER部門と連携をとり、迅速で適切な対応ができるよう体制を整え、万全を期して検査に臨んでいます。また、待ち時間を短縮するため、造影検査の場合は、あらかじめ検査前に静脈ルート確保場所にご案内しています。
座位姿勢での針刺しとなりますので、採血などは横になりたい方(苦手な方も含む)やパワーポート(造影可能なポートを埋め込まれている方)、血管が細い方などはお申し出ください。
適切な造影剤量の選択、息止め時間の短縮など、患者さまの負担軽減に配慮した撮影を心がけています。CT部門では、被ばく線量の管理を実施しており、検査による被ばくが気になる方は診療放射線技師にお尋ねください。
MRI検査
MRI-Skyra
MRI-Vida
MRI検査は、強力な磁石と電波を利用し、身体のあらゆる方向の画像を撮影する検査です。
特に脳、脊髄、関節の描出に優れ、CTではわかりにくい急性期の脳梗塞や微小な脳出血等の診断などにも有用です。
放射線を使用しないため、放射線被ばくはありません。検査時間は20~30分程度、撮影中に継続的な音がするのも特徴の1つです。現在3.0T(テスラ)の装置2台が稼動しており、高精細な画像、頭部造影パーフュジョンや心臓MRIなど特殊な検査に対応することで、診断に資する画像の提供に努めています。
MRI頭部DWI
MRI心臓
MRI椎体
MRI肩関節
MRI膝関節
ER部門のMRI装置と連携し、各診療科の予約検査のみでなく、当日緊急検査、地域医療連携による他院からの紹介検査、健診脳ドックなど幅広く対応しています。
最も重要な点ですが、MRI室への金属の持ち込みは大変危険です。検査を受けられる方は必ず金属類を外していただくようお願いしています。安全確認のため何度も同じ質問をさせて頂きますが、ご理解ご協力をお願いします。
血管造影
アンギオ装置
血管撮影とは、足の付け根(鼠径部)や手首、肘の動脈から細い管(カテーテル)を挿入し、目的の血管に造影剤を注入して連続撮影します。造影剤の流れをみることで、血管の走行や状態を診る検査です。また、血管の診断のみならず、脳卒中や心筋梗塞、不整脈、肝腫瘍等に対して血管内治療(Interventional Radiology:IVR)も実施しています。
当院では、FPD(Flat Panel Detector)搭載のバイプレーン型装置を3台導入しています。
心カテ動画
頭部動画
撮影したデータを処理し3次元で観察することができる機能や血管の走行および状態を解析するアプリケーションを搭載しており、診断や治療に役立てています。
アンギオ解析1
アンギオ解析2
血管撮影部門では多くの緊急検査を受け入れています。急性心筋梗塞、脳卒中等の血管障害の診断治療に24時間体制で緊急対応しています。また、様々な職種が関わるため他職種連携が重要です。医師や看護師、臨床工学技士らとカンファレンスを行い、患者さまの検査に必要な情報交換や治療方針の検討を行っています。専門知識の維持向上に努めるため、学会や研究会へ参加し、知識・技術の向上に努めています。
ER放射線(救急撮影)
救急外来(ERトヨタ)は、救急車、ドクターヘリやドクターカーでの搬送、自己来院にて受診された患者さまを受け入れています。ER放射線は、救急外来に受診された患者さまの一般撮影やCT検査、MRI検査を24時間365日対応できる体制をとっています。高性能な一般撮影装置、フラットパネルディテクタ(FPD)、CT装置、MRI装置を導入しており、適切な画像を提供できるよう、環境整備に努めています。
ER-CT装置
ER-MRI装置
2023年5月から救急外来とER放射線のCT撮影室がドア1枚で直接繋がった配置になり、重症患者さまの撮影に関わる移動時間を短縮できる配置となりました。また、CT撮影室内に天井吊り下げ型の一般撮影装置を備えており、CT撮影後そのまま移動せずに一般撮影を行うこともでき、患者さまの負担軽減に配慮しています。同じくMRI撮影室も救急外来と隣接した配置となっています。さらに一般撮影とCT装置とMRI装置の操作室が共有されており、診療放射線技師同士や医師、看護師との情報を互いにやりとりすることができ、迅速な画像提供に努めています。
ER放射線では救急対応だけでなく、地域医療機関からご紹介いただいた患者さまの撮影も行っています。地域の「かかりつけ医」の先生方にも有用な画像の提供に努めています。
核医学検査(PET・SPECT)
核医学検査とは、微量の放射線を放出する「放射性医薬品」を用いて身体の機能を画像化する検査法です。放射性医薬品を主に静脈より注射し、一定時間経過後、体内から放出される放射線を特殊なカメラで撮像、その薬剤分布を画像化します。一般撮影やCT・MRIといった形や大きさの評価を得意とする形態画像に対し、核医学検査は用いる放射性医薬品を使い分けることで、全身や特定臓器の機能を評価する事が可能となり「機能画像」とも呼ばれます。核医学検査は、この「機能画像」の特性を活かし、病変の存在・大きさ・活動性・広がり・機能予測・転移状況や治療効果の判定、再発の診断など、有用な診断情報を提供します。
現在、PET-CT装置が1台、SPECT-CT装置が1台稼動しています。
PET-CT装置
SPECT-CT装置
使用される放射性医薬品は、検査目的、適応などにより使い分けられ、主な検査として18F-FDGを用いた腫瘍PET-CT検査、99mTc・123I・201Tl等を用いたSPECT-CT検査を実施しています。
Hybrid CT手術室
ハイブリッド CT 手術室
Hybrid(ハイブリッド)CT手術室
Hybrid装置は従来の手術室の機能に、血管造影装置を組み合わせた装置です。2つの機能が組み合わさることで外科的手術と血管内治療を同時に行うことができます。当院のHybrid装置は、Cアーム式ではない、多軸のロボットアームを搭載しています。ロボットアームは、多軸構造により、多方向からの撮影を可能にし、診断や治療の精度向上に役立てています。
ハイブリッド1
また、隣室にあるCT装置はスライディングガントリというシステムで、ベットが動かず、ガントリと呼ばれるトンネル部分が動いて撮影します。ベットが動かないことで、点滴や体に挿入されているチューブなどの事故抜去の危険性を低減し、安全な撮影に努めています。そのため、おもに入院中の患者さまの撮影を行っています。
スライディングガントリCTは、隣のHybrid室に移動可能なため、術中・術後のCT画像の確認ができます。
ハイブリッド2
閉創前にCT画像を診ることで、患者さまの移動によるリスクを防ぎ、安全性の向上と、確実な手術の実現に努めています。
このような利点を活かし、Hybrid室では主に、大動脈瘤や大動脈解離のステントグラフト留置、血管内血栓除去、脳動脈瘤のコイル塞栓やクリッピング術、頭蓋内血腫除去術が行われます。
当院のHybrid室では、2Room Typeのロボットアーム装置とスライディングガントリCTを組み合わせて運用しています。
放射線治療
放射線治療は、手術療法・化学療法とともにがんに対する三大治療法の一つです。特に放射線治療は手術療法とは異なり、治療する臓器の形態・機能の温存が期待できる点が大きな特徴です。副作用は基本的に放射線が当たった部位にしか生じませんので、一般的に全身的な負担は少なく、状態が悪い患者さまや高齢の患者さまにも適応される治療です。副作用の低減と治療効果の最大化を目指し、日々努力しています。当院では、2015年9月に定位放射線治療装置であるサイバーナイフシステム(CyberknifeM6)を、2018年1月に強度変調放射線治療(IMRT)を可能にするトゥルービームを導入しました。両装置の導入により、放射線治療の適用範囲を広げ、患者さまのがん治療における選択肢の充実に努めています。